「この内容を何と言ってから書き始めたらいいのかわからない」
「言いたいニュアンスがうまく英語で書けない」
「かっこいい、恥ずかしくない英文にしたい」
英語で論文を執筆するにあたって、すぐに自分の表現したい適切な語彙が浮かんでこないことが多くあります。
ノンネイティブなので仕方ない部分はあります。
しかし、ものを書く以上は、できるだけ自分の考えを適切に表現する必要があります。
本記事では、筆者がこれまで論文を執筆してきた経験をもとに論文で使える英語表現と注意するポイントを紹介します。
今回ははじめて論文を書く人向けに「使える表現」と「間違えやすい表現」を解説するよ。
はじめて論文を執筆する方
大学院修士課程に在学している方
論文で使える/使ってはいけない英語表現を知りたい方
ページコンテンツ
Introductionで使う表現
論文本文の最も初めである、イントロダクションで使える表現を紹介します。
研究背景
··· is an important issue. | ··· は重要な問題である。 |
··· plays an important/significant role in ···. | ···は···において重要な役割を果たしている。 |
···has attracted attention | ···は注目される |
··· is well known | ···がよく知られている |
··· has been studied in ···· | ···は···の分野で研究されている |
- 「〜は問題である」などと言いたいときはproblemではなくissueを使用します。
- 現在完了は大変有効な表現方法です。「(今までは)〜だった」の後に、自分の研究での取り組みを紹介すると読者は読みやすいです。
過去の関連研究紹介・引用
··· has been proposed | ···が提唱されてきた |
··· was found by ··· | ···が···によって発見された |
··· was shown by ··· | ···は···によって示された |
·· was observed by ··· | ···は···によって観測された |
According to ···, ··· | ···によると、··· |
- 研究者などを主語にして、「··· found that ~」と能動態で書くこともできますが、人によっては能動態を異常に嫌う教授もいるので、避けるほうが無難です。
- とくに年配の日本人教授は「受動態で書きなさい」と指導してくることが多いです。
- 最近では、主語と述語がわかりやすいため、能動態も使われており、逆に能動態を好む方も一部いらっしゃいます。ただ、学生が教授と無駄に争う必要はないので、基本的には受動態で書き上げるのがよいでしょう。
導入
In this paper,··· |
this resarch, ··· |
The author intorduce ··· |
- 次のパラグラフから始まる説明にスムーズにつながるような予告を述べます。
Experimental methodで使う表現
実験方法では、手順がわかるような表記をします。
First, ···. Then,···. Finally, ···. |
- 説明では、実験の操作や条件を説明します。
その際に意識すべきこととして「be動詞の書き換え」があります。
一般的に論文では「be動詞ではなく一般動詞を使う」ことが推奨されます。
例を挙げて説明します。
✗ The contents of the sample is A and B.
○ The sample contains A and B.
Result やDisucussionで使う表現
結果や主張
point out, show remark, find, discover, confirm, revealなど |
- 「It is suggested that···.」も使用できますが、弱い表現となります。断定を避けたい場合に使用します。
引用
自身の主張を補強するために他の人の論文を使用することがあります。
Tanaka et al. said that ···. |
Accoding to Tanaka et al., ···. |
- 「Dr. Tanaka says, “···.”」も文法上誤りではないですが、ほとんど使用されません。
Conclusionで使う表現
In conclusion, ··· |
In summary, ··· |
To summarize, ··· |
In this study, ··· |
- Model Verb(助動詞のなかでも確信・意思・能力・義務を示すもの:can, will, may, shouldなど)を効果的に使用して将来の研究を述べるとよいとされます。
結論では、論文のトピックを再度振り返り、重要な点を強調します。さらに、得られた結果が有意義であることを述べます。また、議論の余地がある部分や問題点についても示し、将来の必要な研究について述べたりすることもあります。
文と文の接続
英語で文章を書いているときに最も迷うのが文と文の接続です。
とくに我々日本人が英語の授業で習ってきたような口語中心の接続詞は論文で使用するには不適切である場合があります。
論理の流れを示し、読者にわかりやすく伝えるのに必須な表現を紹介します。
例を示す | for instance, for example, to demonstrate, in some cases |
付け加える | moreover, futhermore, in addition, also, in other words |
逆説 | however, on the contrary, nevertheless, on the other hand, in contrast |
強調する | therefore, thus, in fact, consequently, as a result |
- カジュアルな接続詞であるand, but, so, especiallyは使用しないようにしましょう。
これらの接続詞は大変便利で、使うと文章がそれっぽくなります。
しかし、本来、接続詞は主にどうしても主張したいことや、話題を変えたい時、論理の流れを無理やり作りたいときに使うものです。
本当に上手な文章は、接続詞が少なくても論理展開が分かります。
接続詞なしでも伝わる文章を目指し、接続詞の多用しすぎには十分気をつけましょう。
howeverの使用法
howeverは使い方に注意が必要です。
howeverは「文の先頭」または「主語と動詞の間にカンマをつけて」使用します。butのように文中で使用することはできません。
例を挙げて説明します。
It was pointed out that the conventional system was vulnerable, but the improvement method has never been discussed.
この場合、butをそのままhoweverに変えることはできません。
✗It was pointed out that the conventional system was vulnerable, however the improvement method has never been discussed.
howeverを使用するときは、「文の先頭」もしくは「主語と動詞の間にカンマをつけて」使用できます。
○ It was pointed out that the conventional system was vulnerable. However, the improvement method has never been discussed.
○ It was pointed out that the conventional system was vulnerable. The improvement method, however, has never been discussed.
まとめ
論文を執筆する際に使える表現を紹介しました。
また、使ってはいけない表現についても解説しました。
初めての論文執筆ではわからないことがあって当然です。
様々な論文を読み、表現法に触れて自分の引き出しを増やしていってください。