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大学院は何年? メリット? どんなところ? 修士課程卒業者が解説!

本記事では、大学院修士課程を卒業した筆者が

「大学院とはどういうところか」

「大学院にいくメリット」

について紹介したいと思います。

皆様の進路選択のひとつの情報になれば幸いです。

この記事の筆者
  • 地方旧帝国大学の大学院修士課程を卒業しました。理系です。
  • 修士課程2年間で数多くの学会発表や論文執筆を行いました。
この記事はこんな人におすすめ

大学院に進学しようか就職しようか悩んでいる方

大学院がどんなところか知りたい方

ページコンテンツ

大学院とは?

大学院は何年?

大学院とは、大学卒業後の学生に、より上位の学位を付与する教育機関です。

大学院には修士課程(博士前期課程)博士課程(博士後期課程)の2種類があります。

大学卒業者は「学士」と呼ばれますが、大学院修士課程卒業者は「修士(マスター)」、大学院博士課程卒業者は「博士(ドクター)」と呼ばれます。

日本の多くの大学院の場合、修士課程2年間博士課程3年間のカリキュラムとなっています。

修士課程を修了した人が試験に合格すると博士課程に進学することができます。

ただし、日本の場合は大学院のレベルにもよりますが、多くの大学院生は修士課程を修了すると就職します。

どうすれば行けるのか?

大学院は大学院入試に合格すると入学することができます。

大学院入試は大学卒業者か大学卒業見込みの学生が受験することができます。

また、自分が卒業した大学のみならず、他の大学の大学院を受験することもできます

「大学入試の際に受験したが、合格できなかった大学に大学院で進学する」というのはよく聞く話です。

大学院入試の内容

しかし、この大学院入試はそんなに簡単ではありません。

とくに、外部から(他大学から)受験する人にとっては合格するのは大変難しいです。

というのも、大学院入試は内部進学生(その大学院の大学を卒業した/する人)に圧倒的に有利に作問されているからです。

大学院の入試は学科内の専攻ごとに行われます。

大学の教授は大学でも大学院でも専門の内容を専攻内の学生に向けて授業をしています。

大学院入試の問題を作成するのは専攻内の教授陣です。

つまり、内部進学生は大学学部生時代に問題作問者である教授の授業やテストをすでに受けており、その先生の癖や試験の過去問などの情報を把握しています。

よって、大学院入試の試験問題は内部進学生にとっては、一度解いたことのあるような問題であり、大変有利な状況であることがわかるかと思います。

実際に筆者も大学院に内部から進学しましたが、大学院入試の問題はどの教授が作問したかひと目見ただけでだいたいわかりました。

研究室

理系の大学院の場合、「研究室」という組織に所属します。

「研究室」とは、教授や准教授などの教員と学生から組織されて研究活動を行う組織です。

国や企業から研究費をもらい、実験室などの設備を持ち、得られたデータや知見をスポンサーに伝えたり、学会や論文などで成果を発表します。

この「研究室」も外部から大学院を受験する人にとっては大きな障壁となります。

大学院は研究活動をする場でもあるので、その大学院に進学して「どんな研究活動をしたいのか」も大学院入試で問われます。

筆者の場合、大学院入試の科目に面接があり、大学院で取り組む研究内容について根掘り葉掘り質問されました。

外部から受験する人にとってこの質問に答えるのは大変ハードルが高いです。

なぜなら、そもそもその専攻内にどんな研究室が存在するのかがわかりません。

ホームページなどで研究室の名前と教授がわかったとしても、実際にどんな研究をしているのか、自分が興味ある内容なのかまで判断するのは大変難しいでしょう。

教授の名前が分かればその教授の論文を読むなどして、研究内容を知ることもできますが労力がかかります。

よって、本気で他大学の大学院に合格しようとした場合、狙った研究室の教授にコンタクトをとり、訪問するなどしてコネクションをつくる必要があります。

教授と相談して、大学院で将来行う研究内容の詳細を詰めて大学院入試の面接に望むのがよいでしょう。

一方、内部進学の学生の多くは大学院でも大学時代の研究室にそのまま所属して研究活動をつづけることになります。

多少、研究内容について突っ込まれたとしても、面接の質問には答えられるでしょう。

また、面接が多少うまくいかなくても、顔見知りの担当の教授や指導教官がかばってくれることもあります。

どんな人が行くのか

理系の大学院進学率が高い

大学院の進学率は理系が文系に比べて高いと言われています。

実際に、筆者の大学時代の文系の友人のすべてが大学卒業後就職したのに対し、理系の友人の9割以上が大学院に進学しました。

筆者が大学院に進学しようと考えた時、「まわりの理系の友達や専攻学科のほとんどが大学院に進学するみたいだし、、、」や「ここまで勉強したなら、、、」という気持ちが大きくありました。

大学院はなにをするところか

メインは研究活動(授業も少し)

大学院の大半は研究活動です。

筆者の場合、大学院の卒業に必要な授業単位は修士1年生のうちに取り終え残りの1年はまるまる研究活動といったかたちでした。

大学院の授業は授業する教授も学部生向けほど力が入っていない場合も多く、多少テストの点数が悪くても単位を取らせてくれることがほとんどでした。

研究・実験

一方、研究室における日々の研究活動では学部時代ほど大目に見てくれなくなります。

筆者の場合、毎週実験データをミーティング内で報告するように指導教官に指示され、毎日実験に追われていました。

毎週の実験データ報告に加え、「輪講」と呼ばれる教科書を読んで内容を紹介する会や「雑誌会」と呼ばれる最新の論文を研究室の他の研究者に紹介する会があり、割と忙しく過ごしました

学会発表

さらに、数ヶ月に一回程度の頻度で学会発表を行います。

筆者の大学院の修了要件は最低1回の学会発表でしたが、指導教官にたくさん学会に出させてもらい、最終的に10回以上の学会発表を行いました。

指導教官の方針によっては多くの学会で発表することになり、より忙しくなるかもしれません。

修士論文執筆・発表

修士課程を修了するためには、卒業前の修士論文発表会にて修士論文発表を行い審査に合格する必要があります。

筆者の大学院では明確な基準はありませんでしたが、修士論文にはある程度のボリュームが求められました。

卒業生や同期を見ても最低70、80ページ程度は執筆しており、筆者の修士論文も100ページほどでした。

また、修士論文発表に関してはかなり厳しい指摘をくらっている同期もいましたが、筆者の場合は多くの学会発表で慣れていたこともあり、比較的想定内で修了できました。

就職に有利か?

いい会社に入るためには大学院にいったほうがいいのか

就職と大学院は全く関係ないと思います。

たしかに、研究職に就きたい場合は修士課程は修了しておいたほうがよいでしょう。

しかし、研究職でなくても他の技術職でよい場合は、ほとんど関係ないと思います。

筆者の大学では推薦制度がありました。

日本のあらゆる企業の推薦枠があり、就職希望の学生はその中から興味ある企業を選んで推薦を頂いたり、企業とコンタクトを取るなかで推薦枠を使うよう指示されたりするケースがありました。

この推薦枠については大学院生を優先すると言われていました。

学部生が就職しようと思った場合、大学院生で埋まった推薦枠以外の企業から選択するような形ということです。

しかし、あらゆる企業の推薦枠があったため、学部生でも希望から大きく外れるということはないようでした。

大学院に行くメリットは?

研究の進め方がわかる

大学院では指導教官の指導を受けながら、自分で実験をしてデータを収集して傾向を分析し、学会で発表したり論文などにまとめるという研究のプロセスをすべて学ぶことができます

大学院である程度自主的に研究活動をした人であれば、いきなり企業の研究所などに配属されて研究テーマを渡されてたとしても、自分で勝手に進めていけるでしょう。

人前での発表に慣れる

大学院生は学会発表等で人前で研究を報告する機会が多くあります

慣れないうちは、クリティカルな意見やわけのわからない的を得ない質問への対処などに苦労することもあるでしょう。

しかし、次第に慣れて上手に答えることができるようになってきます。

また、人前で恥をかいてもダメージを受けないメンタルも手に入れられるようになります。

執筆に慣れる

大学院では修士論文や学会の要旨、投稿論文などを執筆する機会が多くあります

はじめは日本語の使い方に戸惑うことがありますが、次第に自分のフォーマットを確立させていけます。

大学院進学には向き不向きがある

途中で中退する人もいる

最後にお伝えしたいのは「大学院(研究活動)には向き不向きがある」ということです。

実は大学院で病む学生は多くいます。

理由は様々ですが、「自分の研究活動と世の中の繋がりがいまいち浅い」「研究テーマに興味がない」「はやく働きたい」など様々です。

とくに近年はスマホひとつでたくさんの刺激が得られます。

一方、研究や実験は基本的にうまくいかないもので、予想に反したデータや使えないデータばかりです。

それでも地道にデータを取り続けると、すこしずつ成果が得られます。

このプロセスは大変苦痛で、人によっては耐えられないものです。

大学院に行く前に「自分が本当にこの人生でやりたいものはなんなのか」「自分の性格は研究に向いているのか」よく吟味してください。

本記事を最後まで読んでくださった皆様が後悔ない選択をしていただけるよう願っています。

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