今回はトラス構造について解説します。
トラス構造の変形で注意することはなに?
身の回りの様々なところで用いられているね。
✔学習内容
・トラス構造はどうして有利なのか?
・問題1(平成24年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅳ-5)
・問題2(令和3年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-3)
トラス構造は構造物のあらゆるところで使用されているので、皆さんも目にしたことがあるのではないでしょうか。
トラス構造は三角形を基本とした構造骨組からできています。
各部材の接合部はピン接合となっています。
各部材は軸方向の圧縮、引張力しか受けず、曲げが発しにくい構造になっています。
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トラス構造のメリット
四角形と三角形を比較した場合、一般に三角形の方が変形しずらく強度が高いです。
どうしてでしょうか?
三角形と四角形の構造を比べてみましょう。
ここに4つの棒とピンで作った四角形の構造があります。
一点を指で押した場合、このように変形します。
一方、三角形の構造を作った場合、ほとんど変形しません。
これは、三角形の構造の場合、各部材の軸方向(圧縮もしくは引張)の変形しか許容しないためです。
このメリットを応用したのがトラス構造です。
トラス構造の構造物は、この三角形を基本として組み上げられています。
それでは、例題でトラス構造のメリットを確認していきましょう。
問題1
問題画像は公益社団法人日本技術士会ホームページからダウンロードしたものです。
【平成24年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅳ-5】
【解答】
節点$A$において、荷重$P$を棒1、2方向に分解したのが$P_1$、$P_2$になります。
三角形ABCは直角二等辺三角形ですので、
$$P_1=P_2$$
$$=P\cos45°$$
$$=\frac{P}{\sqrt{2}}$$
棒1、2は$\frac{P}{\sqrt{2}}$の圧縮力を受けるので、$P_1=-\frac{P}{\sqrt{2}}$となります。
つぎに、節点Cにおいて、水平方向のつりあいを考えます。
棒3は、$P_2$の水平方向成分の反作用として、引張力を受けますので
$$P_3=P_2\cos45°$$
$$=\frac{P}{\sqrt{2}}\cdot\frac{1}{\sqrt{2}}$$
$$=\frac{P}{2}$$
以上より、正解は④です。
問題2
問題画像は公益社団法人日本技術士会ホームページからダウンロードしたものです。
【令和3年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-3】
【解答】
各棒の張力$T$とすると、節点Oでの力のつりあいは、垂直方向について
$$P=2T\cosθ$$
$$T=\frac{P}{2\cosθ}$$
また、上の棒の伸びは、$\delta\cosθ$と表わせます。
棒の長さ$l’$は、$l’=\frac{l}{\sinθ}$です。
よって、フックの法則より、
$$\frac{T}{A}=E\frac{\lambda}{l’}$$
$$\frac{P}{2A\cos\theta}=E\frac{\delta\cos\theta\sin\theta}{l}$$
$$\delta=\frac{Pl}{2AE\sin\theta\cos^{2}\theta}$$
以上より、正解は③です。
フックの法則について復習したい方はこちらを参考にしてください!
部材の伸び縮みに関しては、部材の方向で考えるように注意しよう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
実際に例題を解くことで、トラス構造にて各部材に引張応力や圧縮応力がかかることがわかったのではないでしょうか。
トラス構造の変位を求める問題は技術士一次試験でも出題されています。
過去問を確認して、確実に得点できるようになってください。