今回は、薄肉圧力容器に働く応力を求めていきます。
✔学習内容
・薄肉円筒圧力容器に働く応力(側面・底面)
・薄肉球殻容器に働く応力
・例題(令和3年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-10)
技術士一次試験でも頻出の分野です。
計算結果を暗記することで時間短縮ができるので、導出過程を知り、暗記するのが得策です。
ページコンテンツ
薄肉円筒容器(側面)
円周方向の応力を$\sigma_\theta$とします。
円筒の側面に作用する内圧$p$の合力が、円周方向の力とつりあいます。
$$\int_{0}^{\pi}p\frac{d}{2}\sin\theta d\theta=2t\sigma_\theta$$
$d$: 円筒の直径
$t$: 薄肉の肉厚
この方程式を計算すると、$\sigma_\theta$は、
$$\sigma_\theta=\frac{pd}{4t}\int_{0}^{\pi}\sin\theta d\theta=\frac{pd}{2t}$$
となります。
薄肉円筒圧力容器の円周方向の応力
$$\sigma_\theta=\frac{pd}{2t}$$
薄肉円筒容器(底面)
軸方向の応力を$\sigma_z$とします。
円筒の底面に作用する内圧$p$の合力が、円筒軸方向の力とつりあいます。
$$\pi\left(\frac{d}{2}\right)^2p=\pi dt \sigma_z$$
$d$: 円筒の直径
$t$: 薄肉の肉厚
この方程式を計算すると、$\sigma_z$は、
$$\sigma_z=\frac{pd}{4t}$$
となります。
薄肉円筒圧力容器の軸方向の応力
$$\sigma_z=\frac{pd}{4t}$$
薄肉球殻
薄肉球殻容器に働く応力は次のようになります。
球面方向に作用する応力を$\sigma_\theta$とします。
球の直径が$d$のとき、$\sigma_\theta$は以下のように与えられます。(計算は割愛します)
薄肉球殻容器の応力
$$\sigma_\theta=\frac{pd}{4t}$$
問題
問題画像は公益社団法人日本技術士会ホームページからダウンロードしたものです。
【令和3年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-10】
【解答】
公式より、薄肉球殻容器の応力は、
$$\sigma_\theta=\frac{pd}{4t}=\frac{pr}{2t}$$
よって、正解は③です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
試験では公式を暗記しておくと迷わずにすむでしょう。
球形の$\sigma_\theta$はどこにおいても、円筒における$\sigma_\theta$の半分であり、
材料に付与される応力が小さくすむことがわかります。