本記事では、2021年令和3年度の技術士一次試験を機械部門で受験した筆者が、
受験した感想と問題の傾向、受験予定の方へ向けたアドバイスをまとめます。
令和3年度技術士一次試験を受験した方
技術士一次試験の受験を検討している方
機械部門を受験しようと思っている方
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技術士一次試験とは?
技術士になるためには、技術士試験に合格する必要があります。
技術士試験は一次試験と二次試験に分かれています。
一次試験の合格者のうち、様々な要件をクリアした人のみが二次試験の受験資格が得られます。
一次試験は技術士になるための登竜門といえるでしょう。
詳しくは、公益社団法人日本技術士会のホームページを参照してください。
技術部門
技術士試験は機械、船舶・海洋、航空・宇宙、電気電子、化学、繊維、金属、資源工学、建設、上下水道、衛生工学、能楽、森林、水産、経営工学、情報工学、応用理学、生物工学、環境、原子力・放射線および総合技術監理の21技術部門に分かれています。
各部門に選択科目があるので、自分の専門分野にあった得意分野の科目を選ぶことが大切です。
筆者ぺろは、今回、機械部門を受験しました。
以下の画像は公益社団法人日本技術士会のホームページからダウンロードしたものです。
機械部門の受験申し込み者数は建設部門のつぎに多く、人気の技術部門となっていることがわかります。
令和3年度技術士一次試験試験の概要
試験日
令和3年度の技術士一次試験は以下のスケジュールで行われました。
受験申し込み受付:令和3年6月17日~30日
受験票発送:令和3年度11月上旬
試験日:令和3年11月28日
合格発表:令和4年2月28日
試験の時間割
専門科目:10:30~12:30
適正科目:13:30~14:30
基礎科目:15:00~16:00
試験科目
令和3年度の科目と配点をまとめます。
試験はすべて筆記試験で、五肢択一のマークシート方式でした。
試験の科目や方法はすべて以前と同じ形式で変更点はありませんでした。
Ⅰ 基礎科目
試験時間:1時間
内容:科学技術全般にわたる基礎知識を問う問題
問題構成:5つの問題群にて構成
1群 | 設計・計画に関するもの |
2群 | 情報・倫理に関するもの |
3群 | 解析に関するもの |
4群 | 材料・化学・バイオに関するもの |
5群 | 環境・エネルギー・技術に関するもの |
配点:15点満点。1~5群で各6問、合計30問出題。5群それぞれ3問ずつ選択して合計15問解答。
Ⅱ 適正科目
試験時間:1時間
内容:技術士法第四章の規定の遵守に関する適性を問う問題
問題構成:15問出題。受験者はすべての問題に解答します。
配点:15点満点。
Ⅲ 専門科目
試験時間:2時間
内容:当該技術部門に係る基礎知識及び専門知識を問う問題
問題構成:35問出題され、25問を選択して解答。受験者はあらかじめ選択した技術部門の問題をときます。
機械部門の出題範囲
- 材料力学
- 機械力学、制御
- 熱工学
- 流体工学
配点:50点満点。
合否判定基準
それぞれの試験科目で50%以上の得点で合格となります。
例年からの変更はありませんでした。
基礎科目 | 50%以上の得点(8/15問以上の正解) |
適性科目 | 50%以上の得点(8/15問以上の正解) |
専門科目 | 50%以上の得点(13/25問以上の正解) |
難易度は上がったの?下がったの?
ここからは、実際に機械部門を受験したぺろの感想とともに難易度を振り返ります。
Ⅰ 基礎科目
難易度:例年通り!
過去問で出題された問題と似たような内容の問題が半分以上あったように思われました。
過去問をしっかり学習することが大切だと思います。
もちろんわからない問題もいくつかありましたが、解答を選択せずにわかる問題のみを選択しました。
問題の取捨選択も合格の大事な要素のひとつだと感じました。
ぺろの自己採点では13/15点ほどでした。
個人的には、5群の環境分野でひとつもわかる問題がなくて焦りました。
気候変動やエネルギー問題など、普段からニュースに触れている方なら余裕の問題だったのかもしれません。
普段から、興味ある情報にしか触れていないとこうなるんだなと反省しました。
出題テーマ
【1群】
ユニバーサルデザイン、システムの信頼度、PDCAサイクル、平均対応時間、製作図の基本など
【2群】
情報セキュリティ、理論演算、回線速度、アルゴリズムなど
【3群】
偏微分、有限要素法、応力とひずみ、振動とエネルギー、重心など
【4群】
化学反応式、金属の特性、金属製錬、アミノ酸、DNAなど
【5群】
環境用語、環境保全対策、エネルギー情勢、科学史・技術史など
どの出題テーマも過去に出題されたことのある内容と似通っています。
Ⅱ 適正科目
難易度:難化!
適性科目は難しかったです。
出題形式が
「次の(ア)~(カ)のうち、あきらかに不適切なものの数を選べ」
- (ア)〜。
- (イ)〜。
- (ウ)〜。
- (エ)〜。
- (オ)〜。
- (カ)〜。
→「選択肢:①0、②1、③2、④3、⑤4」
などの問題が近年増えています。
この出題形式は、(ア)~(カ)のうちひとつでも間違った判断をすると正解できません。
すべて正確に理解しておきなさいという、出題者の意図がわかります。
これが難化した要因のひとつです。
また、SDGsや多様性に関する出題など、時事に合わせた問題もありました。
初見と感じる問題が多かったことも難しかった要因のひとつです。
適性科目の勉強は、受験者のなかでもおざなりになりがちの方が多いと思います。
というのも、過去問の内容は一般的な科学技術に携わる者としての感覚や判断があれば間違えることのない問題も多くあり、そのように解説している参考書もあります。
受験者のなかには舐めていらっしゃた方も多いのではないでしょうか。
しかし、難化した今回の適性科目でも、過去問とほぼ同じ出題もありました。
やはり、過去問をしっかりと学習し、合格に必要な最低点数は得点することが必須だと思いました。
ぺろの自己採点は、8/15問正解でした。
ぎりぎりの合格点なので、マークミスなどをしていないよう祈っています。
結果がわかれば、再度記事にしたいと思います。
出題テーマ
技術士法第4章、説明責任、輸出管理、SDGs、AI社会原則、情報倫理、製造物責任法、多様性、労働安全衛生法、知的財産権、個人情報保護法、リスクアセスメントなど
アンダーラインのテーマに関しては、筆者が確認するなかで過去にも出題されたようなテーマです。
Ⅲ 専門科目(機械部門)
難易度:例年通り
機械部門の専門科目は例年通りの難易度でした。
過去問とまったく同じ問題もいくつかありました。
過去問をしっかり学習していれば、合格に必要な最低点数は得点できるようになっていたと思います。
出題テーマ
材料力学
問題数:10問
材料力学用語、棒の伸び、トラス構造の変位、片持はりの曲げモーメント、片持はりのたわみ、片持はりのひずみエネルギー、丸棒のねじれ、座屈、モールの応力円、薄肉圧力容器
機械力学・制御
問題数:12問
伝達関数、フィードバック制御系の安定、PID制御、定常偏差、振動系の説明、ねじりばねの固有振動数、1自由度系の固有振動数、1自由度系の減衰、ばねと定滑車からなる振動、ダンパの減衰係数、ばね定数と振幅、2自由度系の固有振動数
熱工学
問題数:5問
COP、蒸気の比エンタルピー、熱伝導率、エントロピーの説明、熱伝達率、対流の用語
流体工学
問題数:8問
抗力、流れ場、レイノルズ数の説明、球の抗力、カルマン渦の放出周波数、連続の式、ベルヌーイの定理
受験予定の方へ
令和3年度の技術士一次試験を受けた筆者から伝えたいことは以下の2つです!
- 過去問を完璧に解けるようになるまでやり込む!
- 適性科目をおろそかにしない!
技術士一次試験の内容は、大学のエンジニアリング課程(工学、農学、理学等)程度とされています。
しかし、だからといって修士課程修了者が勉強せずに合格できるほど簡単な試験ではありません。
しっかり、過去問を解けるまで学習しましょう!