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応力テンソルの座標変換から、主応力を求める! 【モールの応力円】

本記事では主応力を導出していきます。

主応力ってそもそもなんなんだ〜?
ぺろ
主応力とは、せん断応力がゼロになるときの垂直応力のことだよ。

せん断応力が0になるときの垂直応力を主応力といいます。

本記事では、応力テンソルの座標変換から、主応力を求めていきます。

学習内容

・2次元における垂直応力とせん断応力の求め方
・2次元における主応力の求め方

せん断応力と主応力の位置関係についてはこちらの記事で説明しています。

ぺろ
3次元では1つの垂直応力と、2つのせん断応力に分解できるんだったね。

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応力テンソルの座標変換

応力テンソルの座標変換公式は以下の通りです。

応力テンソルの座標変換$$\boldsymbol{\sigma’}=\boldsymbol{Q}\cdot\boldsymbol{\sigma}\cdot\boldsymbol{Q^T}$$

$$\small\left(\begin{array}{c} \sigma’_{xx}&\tau’_{xy}&\tau’_{xz} \\ \tau’_{yx}&\sigma’_{yy}&\tau’_{yz}\\ \tau’_{zx}&\tau’_{zy}&\sigma’_{zz} \end{array}\right) =\left(\begin{array}{c} l_1&m_1&n_1 \\ l_2&m_2&n_2 \\ l_3&m_3&n_3 \end{array}\right) \left(\begin{array}{c} \sigma_{xx}&\tau_{xy}&\tau_{xz} \\ \tau_{yx}&\sigma_{yy}&\tau_{yz} \\ \tau_{zx}&\tau_{zy}&\sigma_{zz} \end{array}\right)
\left(\begin{array}{c} l_1&l_2&l_3 \\ m_1&m_2&m_3 \\ n_1&n_2&n_3 \end{array}\right)$$

導出はこちらの記事で説明しています。

2次元において座標変換を考えると、応力テンソルの座標変換公式は以下のようになります。

$$\left(\begin{array}{c} \sigma’_{xx}&\tau’_{xy} \\ \tau’_{yx}&\sigma’_{yy}\end{array}\right)
=\left(\begin{array}{c} l_1&m_1\\ l_2&m_2\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c} \sigma_{xx}&\tau_{xy} \\ \tau_{xy}&\sigma_{yy} \end{array}\right)
\left(\begin{array}{c} l_1&l_2 \\ m_1&m_2 \end{array}\right)$$

$\left(\begin{array}{c} \sigma’_{xx}&\tau’_{xy}\end{array}\right)$について、

$$\left(\begin{array}{c} \sigma’_{xx}&\tau’_{xy}\end{array}\right)
=\left(\begin{array}{c} l_1&m_1\end{array}\right)
\left(\begin{array}{c} \sigma_{xx}l_1+\tau_{xy}m_1&\sigma_{xx}l_2+\tau_{xy}m_2 \\ \tau_{xy}l_1+\sigma_{yy}m_1&\tau_{xy}l_2+\sigma_{yy}m_2 \end{array}\right)$$

よって、

$$\sigma’_{xx}=\sigma_{xx}l_1^2+2\tau_{xy}l_1m_1+\sigma_{yy}m_1^2$$

$$\tau’_{xy}=\sigma_{xx}l_1l_2+\tau_{xy}(l_1m_2+m_1l_2)+\sigma_{yy}m_1m_2$$

とできます。

応力ベクトルの座標変換

新しい座標系の単位ベクトル$(\boldsymbol{e’_x},\boldsymbol{e’_y})$は、

$\boldsymbol{e’_x}=(l_1, m_1)=(\cos\theta,\sin\theta)$

$\boldsymbol{e’_y}=(l_2, m_2)=(-\sin\theta, \cos\theta)$

となりますので、

$$\sigma’_{xx}=\sigma_{xx}\cos^2\theta+\sigma_{yy}\sin^2\theta+2\tau_{xy}\sin\theta\cos\theta$$

$$\tau’_{xy}=-(\sigma_{xx}-\sigma_{yy})\sin\theta\cos\theta-\tau_{xy}(\sin^2\theta-\cos^2\theta)$$

ここで、$\cos2\theta=1-2\sin^2\theta=2\cos^2\theta-1$、$\sin2\theta=2\sin\theta\cos\theta$より、

$$\sigma’_{xx}=\frac{\sigma_{xx}+\sigma_{yy}}{2}+\frac{\sigma_{xx}-\sigma_{yy}}{2}\cos2\theta+\tau_{xy}\sin2\theta$$

$$\tau’_{xy}=\frac{\sigma_{xx}+\sigma_{yy}}{2}\sin2\theta+\tau_{xy}\cos2\theta$$

と変形できます。

主応力

せん断応力$\tau’_{xy}$が0になるときの垂直応力を主応力といいます。

$\tau’_{xy}=0$のとき、$\frac{d\sigma’_{xx}}{d\theta}=0$となるので、

$$\frac{d\sigma’_{xx}}{d\theta}=-2\frac{\sigma_{xx}-\sigma_{yy}}{2}\sin2\theta^*+2\tau_{xy}\cos2\theta^*$$

$$=2\tau’_{xy}$$

$$=0$$

よって、

$$-2\frac{\sigma_{xx}-\sigma_{yy}}{2}\sin2\theta^*+2\tau_{xy}\cos2\theta^*=0$$

$$\frac{\sigma_{xx}-\sigma_{yy}}{2}\sin2\theta^*=\tau_{xy}\cos2\theta^*$$

$$\tan2\theta^*=\frac{2\tau_{xy}}{\sigma_{xx}-\sigma_{yy}}$$

主応力の求め方

$\tan2\theta^*$より、$\sin2\theta^*$、$\cos2\theta^*$については、

$$\sin2\theta^*=\pm\frac{\tau_{xy}}{\sqrt{\left(\frac{\sigma_{xx}+\sigma_{yy}}{2}\right)^2+\tau_{xy}^2}}$$

$$\cos2\theta^*=\pm\frac{\frac{\sigma_{xx}-\sigma_{yy}}{2}}{\sqrt{\left(\frac{\sigma_{xx}+\sigma_{yy}}{2}\right)^2+\tau_{xy}^2}}$$

とできます。

よって、もとめる主応力は、

$$\sigma’_{xx}=\frac{\sigma_{xx}+\sigma_{yy}}{2}+\frac{\sigma_{xx}-\sigma_{yy}}{2}\cos2\theta+\tau_{xy}\sin2\theta$$

$$\sigma’_{xx}=\frac{\sigma_{xx}+\sigma_{yy}}{2}\pm{\sqrt{\left(\frac{\sigma_{xx}-\sigma_{yy}}{2}\right)^2+\tau_{xy}^2}}$$

と導出できます。

まとめ

2次元において、作用面が$\theta$傾いたとき、

垂直応力

$$\sigma’_{xx}=\frac{\sigma_{xx}+\sigma_{yy}}{2}+\frac{\sigma_{xx}-\sigma_{yy}}{2}\cos2\theta+\tau_{xy}\sin2\theta$$

せん断応力

$$\tau’_{xy}=\frac{\sigma_{xx}+\sigma_{yy}}{2}\sin2\theta+\tau_{xy}\cos2\theta$$

せん断応力$\tau’_{xy}$が0になるときの垂直応力(主応力)は、

主応力

$$\sigma’_{xx}=\frac{\sigma_{xx}+\sigma_{yy}}{2}\pm{\sqrt{\left(\frac{\sigma_{xx}-\sigma_{yy}}{2}\right)^2+\tau_{xy}^2}}$$

読むだけでは理解が難しい部分がありますので、ぜひ紙に書いて勉強してみてください!

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