令和3年度技術士一次試験感想公開中!
片持はりの曲げを計算! 技術士1次試験過去問より例題あり! 【材料力学】

今回は、片持はりの曲げを計算します。

曲げがある梁のたわみを求めなさいという問題はどうやって解けばいいんだろう?
ぺろ
曲げこわさを用いて、曲げが生じた梁の角度と変位(たわみ)を計算することができるよ。

学習内容

・曲げが生じている梁の角度と変位(たわみ)
・集中荷重と等分布荷重の場合の違い
・問題1(令和3年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-5)
・問題2(令和2年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-6)

ページコンテンツ

はりを曲げたときの角度と変位

片持ちはりの座標

はりの軸方向を$x$、せん断方向を$y$とします。

はりを曲げたときの角度と変位は以下の基本式により求められます。

曲げを受ける梁の角度と変位
  • 変位$y$を一回微分すると、角度$\theta$になります。

$$EI\frac{dy}{dx} = \theta$$

  • 変位$y$を二回微分すると、モーメント$M$になります。

$$EI\frac{d^{2}y}{dx^2} = -M$$

$I$: 断面二次モーメント

$E$: ヤング率

断面二次モーメント$I$とヤング率$E$をかけた$EI$を曲げこわさ、または曲げ剛性と呼ぶことがあります。

それでは実際の問題で練習していきます。

ぺろ
技術士一次試験でも頻出の問題だよ。
必ず計算できるようになろう。

問題1:集中荷重

問題画像は公益社団法人日本技術士会ホームページからダウンロードしたものです。

【令和3年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-5】

令和3年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-5 問題
公益社団法人日本技術士会 – 試験・登録情報 過去問題(第一次試験)

【解答】

令和3年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-5 解答

変位と曲げモーメントの関係式より、

$$EI\frac{d^{2}y}{dx^2} = -M$$

集中荷重の曲げモーメントは$M=-P{\cdot}x$だから、

$$EI\frac{d^{2}y}{dx^2} = – (-P{\cdot}x)$$

$$\frac{d^{2}y}{dx^2} = \frac{1}{EI}Px$$

積分すると、$C_1$を積分定数として、

$$\frac{dy}{dx} = \frac{P}{2EI}x^2 + C_1$$

となります。

境界条件を考えます。

はりの根本、$x=l$の位置においてはりは固定されているので、角度$\theta=\frac{dy}{dx}=0$です。

境界条件から、

$$C_1 = -\frac{Pl^2}{2EI}$$

よって、

$$\frac{dy}{dx} = \frac{P}{2EI}x^2 -\frac{Pl^2}{2EI}$$

$C_2$を積分定数とし、さらにもう一度積分すると、

$$y = \frac{P}{6EI}x^3 -\frac{Pl^2}{2EI}x + C_2$$

$x=l$の位置においてはりは固定されているので、たわみ$y=0$です。

よって、この境界条件より、

$$C_2 = -\frac{Pl^3}{6EI} +\frac{Pl^3}{2EI}$$

$$=\frac{Pl^3}{3EI}$$

以上より、たわみ$y$は、

$$\small y = \frac{P}{6EI}x^3 -\frac{Pl^2}{2EI}x + \frac{Pl^3}{3EI}$$

最大のたわみとなるのは、$x=0$のとき

$$y=\frac{Pl^3}{3EI}$$

よって、正解は④です。

問題2:等分布荷重

問題画像は公益社団法人日本技術士会ホームページからダウンロードしたものです。

【令和2年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-6】

令和2年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-6 問題
公益社団法人日本技術士会 – 試験・登録情報 過去問題(第一次試験)

【解答】

令和2年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-6 解答

変位と曲げモーメントの関係式より、

$$EI\frac{d^{2}y}{dx^2} = -M$$

集中荷重の曲げモーメントは$M=-\frac{wx^2}{2}$だから、

$$EI\frac{d^{2}y}{dx^2} = – \left(-\frac{wx^2}{2}\right)$$

$$\frac{d^{2}y}{dx^2} = \frac{1}{EI}\left(\frac{wx^2}{2}\right)$$

積分すると、$C_1$を積分定数として、

$$\frac{dy}{dx} = \frac{w}{6EI}x^3 + C_1$$

$x=l$の位置において、角度$\theta=\frac{dy}{dx}=0$なので、

$$C_1=-\frac{wl^3}{6EI}$$

よって、

$$\frac{dy}{dx} = \frac{w}{6EI}x^3 -\frac{wl^3}{6EI}$$

$C_2$を積分定数とし、さらにもう一度積分すると、

$$\small y = \frac{w}{24EI}x^4 -\frac{wl^3}{6EI}x+C_2$$

$x=l$において、たわみ$y=0$より、

$$C_2 = -\frac{wl^4}{24EI} +\frac{wl^4}{6EI}$$

$$= \frac{wl^4}{8EI}$$

よって、たわみ$y$は、

$$\small y = \frac{w}{24EI}x^4 -\frac{wl^3}{6EI}x+\frac{wl^4}{8EI}$$

最大のたわみとなるのは、$x=0$のとき

$$y=\frac{wl^4}{8EI}$$

よって、正解は③です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

ぜひ紙に書いて、導出できるようになりましょう。

曲げモーメントについて復習したい方はこちらを参考にしてください。

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