本記事では、振動に関する各種例題を技術士一次試験過去問を用いて解説します。
✔学習内容
・令和3年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-17
・令和3年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-18
ページコンテンツ
問題1
問題画像は公益社団法人日本技術士会ホームページからダウンロードしたものです。
【令和3年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-17】
【解答】
物体が$x$移動したとき、ばねが$\delta$伸びたとすると、
$$\delta=x\cos\left(\alpha-\Delta\alpha\right)$$
とできます。物体が微小並進運動し、$x$が小さいとき、
$\Delta\alpha\approx0$と考えられるので、
$$\delta\approx x\cos\alpha$$
物体に作用する斜め方向の力$F$は、
$$F=-k\delta=-kx\cos\alpha$$
とできます。
$F$の水平成分$f$は、
$$f=F\cos\alpha=-kx\cos^2\alpha$$
よって、物体の水平方向の運動方程式は、
$$m\ddot{x}=f$$
$$m\ddot{x}=-kx\cos^2\alpha$$
$$m\ddot{x}+kx\cos^2\alpha=0$$
$$\ddot{x}+\frac{k\cos^2\alpha}{m}x=0$$
よって、角振動数$\omega$は(考え方はこちら)、
$$\omega^2=\frac{k\cos^2\alpha}{m}$$
$$\omega=\sqrt{\frac{k}{m}}\cos\alpha$$
以上より、正解は①です。
問題2
問題画像は公益社団法人日本技術士会ホームページからダウンロードしたものです。
【令和3年度技術士一次試験[専門科目] 機械部門 Ⅲ-18】
【解答】
空気中で振動させた際の周期$T$は、角振動数$\omega_0$とすると(考え方はこちら)、
$$T=\frac{2\pi}{\omega_0}$$
液体中の速度に比例する抵抗がある場合の周期$T_w$は角振動数$\omega$とすると、
$$T_w=\frac{2\pi}{\omega}$$
不足減衰時の固有角振動数$\omega$について、$\omega=\sqrt{1-\zeta^2}\cdot\omega_0$より(導出はこちら)、
$$T_w=\frac{2\pi}{\sqrt{1-\zeta^2}\cdot\omega_0}$$
とできます。
ここで、液体中での振動周期$T_w$は、空気中での周期$T$の$n$倍になることから、
$$T_w=n\cdot T$$
$$\frac{2\pi}{\sqrt{1-\zeta^2}\cdot\omega_0}=n\cdot\frac{2\pi}{\omega_0}$$
$$\frac{1}{\sqrt{1-\zeta^2}}=n$$
$\zeta=\frac{c}{2\sqrt{mk}}$を代入すると、
$$\frac{1}{\sqrt{1-\left(\frac{c}{2\sqrt{mk}}\right)^2}}=n$$
$$1=n\cdot\sqrt{1-\left(\frac{c}{2\sqrt{mk}}\right)^2}$$
$$\frac{1}{n^2}=1-\left(\frac{c}{2\sqrt{mk}}\right)^2$$
$$\frac{c^2}{4\sqrt{mk}}=1-\frac{1}{n^2}$$
$$c^2=4\sqrt{mk}\cdot \frac{n^2-1}{n^2}$$
$$c=\frac{2\sqrt{mk\left(n^2-1\right)}}{n}$$
抵抗力(粘性係数$c$×速度$\dot{x}$)は、板と液体の接触面積$S$と速度に比例するとあるので、比例係数:$A$とすると、
$$c=A\cdot S$$
$$A=\frac{c}{S}$$
$$=\frac{2\sqrt{mk\left(n^2-1\right)}}{nS}$$
よって、正解は③です。
まとめ
技術士一次試験の過去問を用いて振動に関する問題を解説しました。
振動の分野は問題演習で慣れることが必要です。
過去問を中心に多くの問題に触れましょう!